坂口志文教授と京都大学の研究グループは、関節リウマチのモデルマウスを用いて、関節炎の原因となる免疫細胞(T細胞)が認識する、自己のタンパク質(自己抗原)を同定し、その自己抗原に対する反応性がヒトの関節リウマチ患者さんの約17%に認められることを明らかにしました。
関節リウマチなどの自己免疫疾患は、本来であれば侵入してくる病原体から身を守るはずの免疫系に異常があり、誤って自分の身体を攻撃してしまうことが原因です。免疫系の司令塔的な役割を果たすT細胞が、自己免疫疾患の患者さんでは自己抗原を認識して活性化することが病気の発症原因となるとされています。しかし、そのT細胞が認識する抗原を同定することは技術的に難しく、長らく不明とされてきました。
今回の研究では、関節リウマチのモデルマウスを用いて、関節炎を引き起こす自己反応性T細胞が認識する自己抗原を同定しました。そして、その自己抗原が、一部の関節リウマチ患者さんでも、実際に病気にかかわっていることを明らかにしました。本研究で確立した方法は、いまだ原因のわかっていないほかの様々な自己免疫疾患の原因抗原の同定にも応用可能であると考えられます。